歴史研究者と区長がタッグ! 子浦に活気をつくりたい。11月2、3日は「子浦風待ち縁の日」 2018.10.31
南伊豆町子浦地区で、地元の人とよそ(地元住民以外)の人がつくったお祭りが初めて行われる。
その名も、『風待ち縁の日』。
初めてこのお話を聞いた時、これって大変なことだと思った。
地元の人からしたら、受け入れる準備って簡単なことではないはず。
一方、提案する側(よその人)だって、「どうしてそのお祭りをやりたいのか」、誠実さや熱量も問われる気がする。
だから、個人的に、このお祭りが開催されるまでの経緯がすごく気になった。
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まずは簡単に子浦の説明を。
伊豆急下田駅から車で40分で子浦に到着する。
江戸時代、そこは「風待ち港」と呼ばれていた。
風待ち港とは、風(嵐)を待つ港町のこと。
その中に、なんと14代将軍徳川家茂もいた。
家茂公は1864年、長州征伐のため大阪へ。
その帰りに嵐に遭遇。子浦で嵐がおさまるのを待ったと言われている。
今から約150年前、ここに家茂公の船が停泊した。
そう思うと・・・景色がちょっと違って見える
子浦は路地を一歩入ると、細い小道と階段が迷路のように続く。
ただ、ここは空き家も多い。
以前は海水浴客で賑わっていたが、徐々に減少。
地元の若者も離れていった。
今回、風待ち縁の日では路地の空き家と民家をイベントスペースに変身させる。
<当日のイベント(一部)>
〇静岡市の老舗天ぷら屋「天文」による天ぷら
〇手芸家秋園圭一さんによる手芸作品の解説
〇裂き織り部の展示販売と無料体験
〇チェコフィル元コントラバス奏者のジリー・ローハンによる演奏と緑茶のサービス。
〇ジオガイドによる子浦町歩き
民家がお店に変わり、地域の人とよその人が交わる日になりそうだ。
発起人となったNPO法人伊豆学研究会の橋本敬之さんと、西子浦区長の杉原伊三郎さんに開催までの経緯を伺った。
子浦の素晴らしさを、もっと多くの人に見てもらいたい
最初は、“よその人”を代表して、橋本さんにお話を伺った。
「私は伊豆の国市を拠点に江戸時代の歴史の研究者をしています。その活動を通じて、知人からここを紹介されました。幕末で生糸貿易で活躍した池津珍蔵の家があると。実際にそこを訪れた際、持ち主の方から「この場所をどうやったら残せるだろうか」と相談を受けたんです。
「ありがたい相談だなと思った反面、私はこの家だけを残すというアイデアより、ここの集落全部を残す、盛り上げる方が結果的にこのお家が残ると思ったんです。それから2018年の5月から定期的にこちらを尋ねて、地元の方々に現状を聞かせてもらいました。
「子浦の魅力の1つに、情緒ある路地の風景だと思います。その魅力を伝えるために何ができるか考えた結果、空き家や民家をお借りしてイベントスペースにすることでした」
「私は本来イベント屋ではありませんので、当日どんな風になるのかわかりません(笑)。ただ、地域の人、よその人たちが「またやろうよ」って言ってもらえたら嬉しいなと思っています。多くの参加者がここでの縁に結ばれる日になり、次のアイデアに結びつけられる日にしたいと思います」
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“地元の人”の杉原さんはどんな想いだったんだろう。
「町が活気づく何かになるなら」って言って、喜んで後押ししましたよ
そう話すのは、西子浦の区長、杉原伊三郎(いさぶろう)さん。
「俺はね、この路地もいいと思うんだけど、結局は“海”だと思うんだよね」
(?どういうこと?)
「俺が学生だった頃、ここでバイトをしてた時は大勢の人が海水浴に来てくれたよ。1本1,500円のパラソルをどこに立てようか迷うくらい、人がいっぱいだった」
杉原さんによると、平成元年(1989年)に子浦を利用してくれた人は約47,000人。
今年(2018年10月末)は、約3,900人。
・・・なんてこった。
「時代の流れもあるけど、あまりにもさ。ひどすぎる。だから、この海の魅力に気づいてくれる人をもっと増やしたい。だから今回のお祭りもそういう機会になったら嬉しいね。ここの海はいつも穏やかだから、SUP、カヤックのマリンレジャーに適しているんだよ」。
「お祭りって結局は単発だからね。海がダメなら、お祭りも続いていかないと俺は思っているよ」
おぉ。
杉原さんは、風待ち縁の日自体、賛成ではあるけど、それだけではダメだという考えを持っている。
それでも、「何もしないよりはいいはず」って思いで、今回のお祭りを後押ししたんだ。
橋本さんと杉原さん、そして会議に参加した人たち。
それぞれの思いが、結果としてお祭りを開催することになった。
初めてのことだし、うまくいかないこともあるかもしれない。
でも、これが何かに繋がればいいな。
あ、そうそう。
なんで「風待ち縁の日」になったのか。
江戸時代の船は帆船なので、風が吹かないと船は進まなかった。
今回のお祭りで「子浦」を動かす風は、そと(地域外)の人、なか(地元)の人。
「子浦に風を吹かせたい」って思いが込められているらしい。
皆さん、ぜひのぞいてみてください。
<概要>
日時:11月2日(金/祝)、3日(土)10:00~16:00
お問い合わせ:0558-76-5088
Web:https://www.facebook.com/events/546591272464522/
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