南伊豆新聞は南伊豆の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

ネパール人直伝の本格カレーが食べられる。 アジア雑貨とネパールカレー ティハール

今回紹介するお店は、ひょんなことからネパールカレーを始めた二人のお話。

今から15年前、
南伊豆に移住したご夫婦が「自分たちが納得する暮らし」を体現した場所であり、
二人が好きなコト、モノを詰め込んだ空間。

それがこんな場所だ。
IMG_3566

ドライブで訪れた人たちが立ち寄る。開放的なオープンテラスでまったりできる。ハンモック席、ペットOKの席もある

開放的なオープンテラスでまったりできる。ハンモック席、ペットOKの席もある

店内はネパール雑貨が並ぶ。毎月第一月曜日はチャリティーバザーが開かれる

店内はネパール雑貨が並ぶ。毎月第一金曜日はチャリティーバザーが開かれる

私たちの好きなものを提供しています

お店を営む垣見さんご夫婦。店長の宣子さんが接客を担当。マスターが料理を作る(照れられたので名前と顔は伏せています)

お店を営む垣見さんご夫婦。店長の宣子さんが接客を担当。マスターが料理を作る(照れられたので名前と顔は伏せています)

そもそも、なんでネパールカレーなのか。
それを語るには、絶対書かないといけないことがある。

マスターのお父さん、垣見一雅さんの存在だ。
一雅さんはネパールで24年間、支援活動をされている。

右の男性の方が一雅さん(現地では『OKバジ』の愛称で親しまれている)。当時高校教師だった一雅さんはヒマラヤ登山に挑戦する。しかし、途中で雪崩に遭遇。ポーター(荷物の運搬人)をしてくれたネパール人を亡くしてしまう

右の男性の方が一雅さん(現地では『OKバジ』の愛称で親しまれている)。当時高校で英語教師だった一雅さんはヒマラヤ登山に挑戦する。しかし、途中で雪崩に遭遇。ポーター(荷物の運搬人)をしてくれたネパール人を亡くしてしまう

九死に一生を得た一雅さんは家族を残し、一人ネパールへ住み始める。今も年間200以上の村を訪ねて学校や水場の建設など、彼らが自立するための募金を集めている。日本に帰ってくるのは6、7月の2ヶ月だけ。

ある日、一雅さんは東京に住んでいたマスターの家にネパール人の友達を連れてきた。

「そのネパール人が地元の料理を食べたいって言って、うちのキッチンでネパールカレーを作ったんだけど、めちゃくちゃ散らかしてさ(笑)。『おい、俺が作るからキッチンを汚すな!作り方を教えてくれ!』って言って。それが始まりかな」

そのときマスターは32歳。21歳で病気を患ってたこともあり、たまにアルバイトをするくらいの生活をしていた。

若い頃の写真ならOKということで見せてくれた。バイクが好きでよくツーリングをしたそう。この出で立ち。モテただろうな

若い頃の写真ならOKということで見せてくれた。バイクが好きでよくツーリングをしたそう。この出で立ち。モテただろうな

それからマスターはネパールカレーをほぼ毎日作るようになる。

これがそのネパールカレー!

これがそのネパール人から教えてもらったネパールカレー・ククラ。

ネパールカレー・ククラ。 ネパールの比較的裕福なカースト「ネワール族」の高級カレー。お米の上に乗っているのが「パパド」という豆のスナック。砕いてご飯にふりかけたり、そのまま食べてもOK。

ククラには鶏肉が入ってあり、ルーは玉ねぎ、ニンニク、生姜がベースになっている。

お米はタイ米(長粒米)のジャスミンライス。

ほどよくスパイシーで、食べるとどんどんやみつきになる。

「遠くから「美味しかった」「ありがとう」って声が聞こえると、フライパンの勢いが増すんだよね(笑)」とマスター。基本的に厨房にいらっしゃいます

「遠くから『美味しかった』『ありがとう』って声が聞こえると、嬉しくてフライパンの勢いが増すんだよね(笑)。だって、お礼を言いたいのはこっちじゃない」とマスター。基本的に厨房にいらっしゃいます

話は二人の若かりし頃に戻る。
二人がネパールカレーに熱中していた頃、マスターのお母さんが定年退職を機に南伊豆へ移住。もともとツーリングで伊豆に来ていたマスターは、同じタイミングで宜子さんと結婚、南伊豆へ移り住もうと決意する。

そして現在2人のお子さんを育てている。

二人にとって、ネパールカレー屋を始めることは自然な流れだったそうだ。

お互い会社員は向いてないってわかっていて(笑)。ネパールカレーは二人とも毎日食べても飽きなかったの。もし売れなくて余っても私たちだけでずっと食べていられるなって

お互い会社員は向いてないってわかっていて(笑)。ネパールカレーは二人とも毎日食べても飽きなかったの。もし売れなくて余っても私たちだけでずっと食べていられるなって

お店のイメージは、一つの景色から始まった。

「東京にいたときに、家の中で薪ストーブの火を見ながらコーヒーを飲みたかったんだよね。いつかできたらいいなって。それをイメージして簡単な図面を書いた。外観はもちろん大工さんに任せたけど、机や椅子は全部自分たちで作ったよ」

これがその薪ストーブ。お店の中に入るとすぐ見ることができる

これがその薪ストーブ。お店の中に入るとすぐ見ることができる

食後に頼んだネパールティー。現地のハーブを使っている。他にもメニューは豊富。トーストなどの軽食もある。基本的に、“二人が好きなもの”がメニューになっているため、全てがネパール料理というわけではない

食後に頼んだネパールティー。現地のハーブを使っている。他にもメニューは豊富。トーストなどの軽食もある。“二人の好きなもの”がメニューになっているため、全てがネパール料理というわけではない

二人にとって、「こんな時間が過ごせたらいいなぁ」というイメージが少しずつ、形になり、いまのティハールができあがったんだな。

いやぁ、すごい!

そして、全ての始まりはもしかしたら、一雅さんのヒマラヤ登山から始まったのかもしれない。

そんなことを考えなら薪ストーブを眺め、ご飯を食べるのもティハールの楽しみ方じゃないかな。

ちなみに、「ティハール」とはネパールのお祭り。
一雅さんからネパール語を教えてもらった中でピンときた言葉だったそうだ。

この言葉にはさまざまな意味が込められてあるそうだが、
「女性が新しい服を着る日」「光のお祭り」など、縁起のいい言葉だ。
二人が南伊豆でつくりだした「自分たちが好きな場所をつくろう」という思いと重なる、ぴったりな言葉だと思った。

【アジア雑貨とネパールカレー ティハール】
場所:〒415-0531 静岡県賀茂郡南伊豆町伊浜2132−19
電話: 0558-63-2777
営業時間10:00~17:00 8月のみ9:00~19:00
定休日:水・木曜日 (定休日でも12:00~15:00で臨時営業することが多いです)
HP:http://www.tihal.com
E-mail:kakimi@tihal.com
※「南伊豆新聞を見た」と伝えてくれると嬉しいです!

ティハール

 

Share (facebook)