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ゴミ掃除したらヘアカット券がもらえちゃう?! 物々交換なクリーン活動「クリカツ」をご紹介

クリーンカット活動(以下:クリカツ)は、海・山・川のゴミ拾いを通して南伊豆の環境や生き物について考えるお掃除イベント。

これまでに過去3回開催。主に子どもたちを対象に実施している

これまでに過去3回開催。主に子どもたちを対象に実施している

主催は市之瀬地区で自然派美容室『杜とあお。』を営む美容師の中野美代子さん。

中野美代子さん。化学原材料を使わない美容室を開業。※ちなみにクリカツはクリーンとカットの略。夫の和洋さんはゴミの分別や生き物に関する授業を行う

中野美代子さん。化学原材料を使わない美容室を開業。※ちなみにクリカツはクリーンとカットの略。

夫の和洋さんはゴミの分別や生き物に関する授業を行う

夫の和洋さんはゴミの分別や生き物に関する授業を行う

ただ、このイベントの特徴は「学び×ゴミ掃除」でおわりじゃない。

参加者には、素敵なギフトがついてくる。

第4回のクリカツでは、イベント後に中野美代子さんのヘアカット券か、運営メンバーの一人である松本ちえ子さんのジャムがもらえる。

松本ちえ子さんのジャムは道の駅で販売されている

松本ちえ子さんのジャムは道の駅で販売されている

今回、クリカツの打ち合わせにおじゃまさせてもらい、活動の思いを伺った。

■自分だったらどんな物々交換ができるかな?

南伊豆新聞:「そもそも、どうしてクリカツをやろうと思ったんですか?」

美代子さん:「近所に住んでいる農家『自然農園 日本晴』さんとの出会いがきっかけでした」

自然農園 日本晴は2015年から営む無農薬・無肥料の野菜を栽培する農家さん。

自然農園 日本晴は2015年から営む無農薬・無肥料の野菜を栽培する農家さん。

美代子さん:「出会った当時、彼らはまだ農業一本で生活ができなかったそうなんですが、その時にやっていたのが物々交換。例えば、彼らはお金の代わりに野菜をギフトして生活をやりくりしていたんです。お金を介さずに*ギフトエコノミーで生活しているっておもしろいなぁと思いました」

*ギフトエコノミーとは、お金を使ったモノの“交換”ではなく、見返りを求めない“ギフト”でやりとりが行われること

美代子さん:「それから漠然と『自分だったらどんな物々交換ができるかな?』って考えるようになって。そこで思いついたのが、このイベントです」

ヘアカットする代わりに近所の川が綺麗になるっていいなぁと

ヘアカットする代わりに近所の川が綺麗になるっていいなぁと

美代子さんは近所の小学校のお母さんグループに相談。第一回の開催に繋がった。

初回は8人の子どもたちが近所の川のゴミを掃除した

初回は8人の子どもたちが近所の川のゴミを掃除した

イベントを重ねるにつれて、少しずつ美代子さんの活動に共感する人が増えてきた。

ジャムの交換券を発行する松本ちえ子さんもその一人。

当日に起こりうることを議論しながら、こんな切り口で場を和ませる。

ちえ子さん:「もちろんクリーン活動自体、やることに意味があるけど、私はたとえ何も意味がなかったとしても、70歳に届く人間が若い人たちと一緒にこういう接点ができるだけでも嬉しいことなの」

ちえこさん:「お饅頭が美味しかったねって言って、帰るだけでもよくてね(笑)」

ちえ子さん:「『お饅頭が美味しかったね』って言って、帰るだけでもよくてね(笑)」

「おいおい」と言いながら夫の恒明さんが補足する。

恒明さん:「俺も普段は一人でゴミ掃除をしているんだけど、こういう結返しってのは面白いなと思ったんです。結を受けたら、結を返すみたいなね。僕とはアプローチは違えど、目指すところが一緒。だからぜひやってみようと思ったんです」

恒明さん:「俺も普段は一人でゴミ掃除をしているんだけど、こういう結返しってのは面白いなと思ったんです。結を受けたら、結を返すみたいなね。我々とアプローチは違えど、目指すところが一緒。だからぜひやってみようと思ったんです」

南伊豆新聞:「目指すところ?」

恒明さん:「結果的にゴミが減ったり、自然に対して気にかける人が増えるってことです」

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みんなでゴミを掃除して、参加するとヘアカット券がついてくる。

結果的に、自分たちの周りの環境について考える機会になる。

なかなか斬新な物々交換だなと思ったけど、この文化って南伊豆にもともとあるのかもしれない。

例えば、南伊豆にあるゲストハウスの1周年パーティが行われた時のこと。

参加費を払う人もいたけど、代わりに採れたての魚を持ってきたり、料理を作って持ち寄ったりとさまざまだった。なかでも20代の若者が参加費として渡したのは、『お手伝い券』。

無償で行うボランティアも尊いし、お金のやりとりもあってしかるべき。

だけど、こういう形もいいなぁと思った。

南伊豆新聞:「美代子さん、この活動で大事にしたいことってありますか?」

美代子さん:「このイベントで子どもたちや周りの人たちが少しでも環境について考えてもらうきっかけになって、広がっていけばいいなって思ってます。きっと分別の勉強もするんだけど、多分答えが出ないものもあると思うんです。だから、私自身も子どもたちと一緒に勉強したいという気持ちでやりたいです」

美代子さん:「このイベントで子どもたちや周りの人たちが少しでも環境について考えてもらうきっかけになって、広がっていけばいいなって思ってます。きっと分別の勉強もするんだけど、多分答えが出ないものもあると思うんです。だから、私自身も子どもたちと一緒に勉強したいという気持ちでやりたいです」

美代子さん:「もっと最終的なところでいうと、私がいなくても物々交換で毎年こういう活動ができていったらいいなって思います」

でも・・・。そう言いかけて、美代子さんはこう続けた。

美代子さん:「今もたまに葛藤があって。いいことしてるんだし、もっと(人)集まってよって思っちゃうこともあるんです(笑)」

一同:笑

美代子さん:「でも見返りを求めていると、そもそもギフトエコノミーじゃないし、人も集まらないし、賛同もしてくれない(笑)。だから、そこらへんはこれから活動する中で気をつけたいなって思います」

正直に今の気持ちを語ってくれた美代子さん。

たしかに、ギフトって言葉にするのは簡単だけど、やっぱり大変な部分もあるんだなと想像した。

これからどんな風に、どんな形でこのイベントが芽吹いていくのか、僕自身とても楽しみ。

何より、このイベントに参加した子どもたちの未来も楽しみだ。

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今回の様子は子どもたちによって『クリカツ新聞』にまとめられる。今回からA4サイズで町内に配る予定だ。現物はゲストハウスりんに飾られる

それでは、もし気になったかたはご参加ください。

県内外問わず、ご参加大歓迎。

【詳細(第4回を情報を掲載してます)】
イベントページ(facebook)はこちらから
日時:10月6日(日)/ 9時(12時解散)
集合: 小稲海岸
対象:小・中学生(小学生低学年は保護者同伴)
参加費:無料(ワンデイ保険込み)
申し込み・お問い合わせ:自然派美容室杜とあお(080-1563-8533中野まで)
*雨天の場合は延期。
クリカツ新聞の展示場所:ゲストハウスりん(〒415-0153 静岡県賀茂郡南伊豆町手石 432-1)

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