「喉ごしと香りを感じて」。打ちたてお蕎麦が食べられるお店 つかさ庵 2018.7.20
つかさ庵は下賀茂商店街から車で10分。
一瞬通り過ぎてしまいそうになるが、小道を曲がるとすぐに見えてくる。
この場所で18年、蕎麦屋を営んでいるのが石塚政男さんと奥さんのとよ子さん。
「ここの蕎麦の特徴? なんだろうな・・・朝に打った蕎麦がその日に食べられることかな。香りがいいんだよ」
この辺はお店がなかったからね(笑)。それがよかったんだろうな
大将の石塚政男さんは、もともと千葉県出身。
自衛隊に入隊したが「自分には向いていない」と2年で退職。
上司の誘いを受けて東京でとんかつ屋を始める。
とよ子さんは南伊豆の出身。
南伊豆で幼少期を過ごした後、東京で美容師として働いていた。
結婚して数年後。
とよ子さんの叔父さんが体調をくずされ、
お店をたたむことになった。
その叔父さんのやっていた蕎麦屋の名前が、つかさ庵!
叔父さんの名前、鶴田松司(まつじ)さんの“司”からきている。
政男さんは、先輩と始めたとんかつ屋を辞めてつかさ庵を引き継いだ。
今のつかさ庵はここから始まっていた!
当時、政男さんは40歳。
とんかつ屋から蕎麦屋への転身。
不安はなかったんだろうか。
パートさんを雇えるほど順調だったつかさ庵。
しかし、2人はこの場所で続けていくイメージがだんだん持てなくなっていった。
2人は子育てがおわったタイミングで、南伊豆に移り住む計画を立てる。
政男さんは、このときから手打ち蕎麦を学び始める。
仕事の合間を縫って、東京の有名店に出向き、一から出汁の取り方や仕入れ方法を学んだそうだ。
そのとき、政男さん50歳。
チャレンジしまくっている!
そして、こちらが政男さんが打ったお蕎麦!
おつゆは、昆布と本節カツオがベースとなっている。
甘すぎず、辛すぎない、ちょうどいいバランス。
駿河湾で獲れた桜エビの存在感がすごい。
まずはお蕎麦を一口すすり、
桜エビと、千切りされた大根をたっぷりおつゆにからませ・・・
さらに一口いただく。
サクサクと、いい音が口の中で鳴る。
さすが元とんかつ屋さん! 見事な揚げ(サクサク)加減だ。
そして、千切り大根と桜エビがなんと合うことか。
うまい!
食後に蕎麦茶を飲んで一息つく。
窓から外を眺めると、のどかな緑の風景が広がる。
お昼時は、つかさ庵のお蕎麦を求めてたくさんの人が足を運ぶ。
2人は南伊豆へ来て、何が変わったのだろう。
「機械打ちの製麺蕎麦から手打ちの蕎麦になったことかな(笑)。あとはなんだろうな、水の味も空の色も違う。夜は満点の星を見ることができる。静かで、ゆったりした感じがいいなと思う」と政男さん。
「最初は田んぼのカエルがうるさくて寝れなかったけれど・・・あっという間に気にしなくなったの(笑)。不思議ねぇ」ととよ子さん。
政男さんは照れられるかもしれないが、
40歳、50歳のタイミングで新しく学び始めるってすごいことだ。
それを支える奥さんもかっこいい。
たくさん人生が織り込まれたつかさ庵のお蕎麦をぜひとも食べに来てほしい。
【つかさ庵】
場所:〒415-0313 静岡県賀茂郡南伊豆町一色447-1
電話:0558-63-0088
営業時間:11時~14時30分 17時~19時30分 ※火は昼のみ
定休日:水、第3火曜日
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