〜町長と行く!南伊豆巡りvol02〜「S級サザエとかハデなものはない。けれど、目に見えずらい魚の鮮度にこだわっています」。「食事処 斉」 2019.6.3
南伊豆町の魅力をもっと知りたい、深めたい。
そんな動機から南伊豆新聞 編集長のイッテツが、南伊豆町長とさまざまな場所を訪ねていく企画です。
前回は、カフェ「HIPS(ヒップス )」を取材しました。
今回は海鮮料理のお店、食事処「斉」へ向かいました。
■ここは何を食ってもうまいんだよ
斉は南伊豆町の人気観光エリア、弓ヶ浜の近くにある。
僕は斉のランチを何度か食べに来ていたけれど、夜は初めてだった。
この記事は町長とサシ飲みした時の様子を中心にまとめています。
※それ以降も写真を撮ったり、個人的に取材を重ねています。
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「ここはね、何食ってもうまいんだよ」
そう話す岡部町長と暖簾(のれん)をくぐったのは、お互い仕事を終えた18時頃。
出迎えてくれたのは、大将の斉藤浩二さんと奥さんの博美さん。
入店して4分。カチンとビールを突き合わす。
岡部町長:「ふぅーうまいねぇ。じゃあ、大将!お刺身をもらおうかな。あと生野菜をお願いします」
さすが岡部町長セレクトのお店。かなり慣れた様子。
浩二さん:「はい、こちらが刺身の盛り合わせです」
生ビールを飲み干した僕らは、焼酎へ移行。
浩二さん:「はい、こちら揚げ物ですー」
揚げ出し豆腐。ラー油をかけると麻婆豆腐風味になります *この他にも定食メニューがあります
一通り料理が揃ったところで、僕らはインタビューを始めた。
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■練馬区から南伊豆へ
南伊豆新聞:「斎藤さんたちは、いつからお店を始めたんですか?」
浩二さん:「11年前(平成19年)の6月かな」
浩二さん:「俺は東京の練馬区出身なんです。奥さんはこっちの人(南伊豆)だけどね」
南伊豆新聞:「そうだったんですね! 斎藤さんはどういうきっかけで南伊豆に?」
浩二さん:「何から話せばいいかな・・・。うちの親父が東京で魚屋をやっていたんです。そこで20年くらい東京でやってた時かな、親父が体をこわして、こっちに移ったんです」。
今から30年前(平成元年)、浩二さんは家族で伊豆(下田)に移住した。
岡部町長:「俺は行ったことがなかったけど、周りの人たちが「あそこの刺身はボリュームがすげーぞ」って言ってたな。あんたのお父さんとお母さんがやってたの!」
浩二さん:「そうなんです。でも俺はそこで仕事をしていたわけじゃなかったから。親父に「早く仕事を探せ」って言われてスーパーに就職したんです。でも、20歳そこそこだったから全然お金にならなくて。そんときにこっち(博美さん)と出会ったんです」
■勝手にこの場所を契約しました
それから浩二さんは、斉を始めるまでの約15年。職を転々とする。
博美さん:「結婚してから3年周期で、どんどん転職していったんですよ(笑)。いつも突然辞めてきて・・・」
浩二さん:「人につかわれるのが、どうもダメなんだよね(笑)。お店を始めたのが41歳の時だから、それまでに伊勢海老の卸し、食品スーパー、回転寿司、車のワイヤーハーネスの仕事、いろいろやったね」
南伊豆新聞:このお店(斉)はどうして始めようと思ったんですか?
浩二さん:「平成19年の1月に親父が急死したのがきっかけかな。そんとき親父は千葉にいてさ。いろいろあって親父とは疎遠だったんだよ。親父が「いつかお前に店を持たせてやりたい」って言ってたこととか、いろいろ思い出してね」
岡部町長:「そうだったんだね。知らなかったな」
浩二さん:「ちょうどその時に働いていたところとまた揉めちゃって(笑)。会社として親父の葬式に出る、出ないとか。・・・もう勘弁してくれって言って」
たしかに・・・。それはちょっと嫌だっただろうな。
浩二さん:「で、1人で不動産屋に行って、この場所を契約しちゃったんだよね」
南伊豆新聞:「ええぇぇぇぇ!!!」
浩二さん:「ずっと気になっていたんだよね、ここ」
しかも、博美さんは職場の人から知ったらしい!
浩二さん:「言うに言えなくてね(笑)」
結局、博美さんはパートの仕事を終えてからお店を手伝うことになり、ランチ営業を始めるタイミングで浩二さんのサポートに徹した。
岡部町長とは、その頃に出会ったそうだ。
■出身地を話すと相手にされなかった時期もあった
浩二さん:「不動産にお店の内装をどうしようか、相談したんです。そしたら岡部町長の会社を紹介してくれて。それからの付き合いです」
浩二さん:「昔は『こっち(南伊豆)の出身じゃないです』って言ったら、『そうか』と言って相手にされないこともあったんだよ。田舎って難しいなぁって思いましたね。そんなこともあったから、岡部さんには助けられたねえ」
岡部町長:「俺はあんまりどこの出身かってことよりも、これから商売をやる人をできる限り応援したいって思ってたじゃあ。2人とも困ってる様子だったし(笑)」
浩二さん:「だから俺は今もそうだけど、どっかまだ新参者という気持ちでやっています。変に出しゃばることはしないし、言わない。もし自分たちが困ったときに「大丈夫か」って声をかけてくれる人が1人でも、2人でもいてくれたら、それで十分だなって」
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浩二さんの謙虚な姿勢がすごく伝わる言葉だった。
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・・・そこに至るまでに、どんな苦労があったんだろう。
なんか! 全然ここでうまく書ける気がしない。
これはもうカウンターに座って、浩二さんから直接聞いてほしい。
そう思った。
南伊豆新聞:「最後に。このお店で大切にしていることってなんでしょう?」
浩二さん:「 このお店はこいつ(博美さん)と2人で、やれる範囲内でコツコツやっているお店なんです。うちはS級サザエとか珍しいもので勝負しているわけじゃない。美味しいものって地味なものもあったりするから。でも、地魚の仕入れにはこだわってます。特に金目鯛。派手さはないけれど、そういう目に見えずらい鮮度にこだわってます」
最後まで、大将の正直でまっすぐな言葉でした。
岡部町長/南伊豆新聞:「ありがとうございました!」
【食事処 斉】
場所:〒415-0152 静岡県賀茂郡南伊豆町湊715−5
電話:0558-62-0607
営業時間:11:00~14:00 (LO 13:30)/17:00~22:00(LO 21:00)
定休日:月曜日
駐車場:あり(3台)
※南伊豆新聞を見たと伝えてくれると嬉しいです!