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朝から町内に本を配達!尾崎さんが選んだ本が並ぶ 尾崎書店

今から50年以上前、尾崎書店はもともと駄菓子屋だった。

「お袋が倒れちゃってね。本屋ならやれるかなと思って始めたんだよ」

そう話すのは尾崎書店の店長、尾崎正幸さん。

尾崎書店は人口8400人が暮らす町で、たった一つの本屋さんだ。

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この町の本屋にしては、品揃えが充実しているんだ

尾崎書店の店長尾崎正幸さん。物静かで無骨な方という印象だったが、とても気さくな方。僕が本を買うとき、必ず立ち話をする。声がとってもハスキーボイス。滝を巡るのが好き

尾崎書店の店長尾崎正幸さん。物静かで無骨な方という印象だったが、とても気さくな方。僕が本を買うとき、必ず立ち話に付き合ってくれる。声がとってもハスキーボイス。滝を巡るのが好き

尾崎書店は本のほかに、CD、カセットテープ、ノートなどの文房具が置いてある。

もう一つの本屋(南伊豆町湊区にあった)は20年以上前に閉店した。

〇〇さんと息子の〇〇さん。二人が店頭に並ぶことは珍しい。普段は〇〇さんがレジに立ち、〇〇さんが奥で本の整理をしている。ちなみに〇〇さんもハスキーボイス

正幸さんと2代目の大輔さん。二人が店頭に並ぶことは珍しい。普段は正幸さんが店頭に立ち、大輔さんが奥で本の整理をしている。ちなみに大輔さんもハスキーボイス

本の品揃えは子どもの学習本から料理本、マニアックな図鑑、旅行本まで、意外と言ったら失礼だけど、結構いろんなジャンルが置いてある。

「この本屋のいいところは、自分たちである程度本を選べること。悪いところは、あんまり売れないところ(笑)」と〇〇さん。時代小説が好き。司馬遼太郎、西村京太郎、佐伯 泰英がおすすめだそう

「この本屋のいいところは、自分たちである程度本を選べること。わるいところは、あんまり売れないところ(笑)」と正幸さん。時代小説が好き。司馬遼太郎、西村京太郎、佐伯泰英がおすすめだそう

息子の〇〇さんは漫画派。最近はまっているのが〇〇。

息子の大輔さんは漫画が好き。最近はまっているのが『よつばと』。趣味はゴルフと釣り

そんな尾崎家のルーツは静岡市。

昭和25年(正幸さんが4歳の時)、疎開で静岡市から南伊豆へ来た尾崎さん一家。

駄菓子屋を営んでいた正幸さんのお母さんは、

この場所で焼き芋やお菓子、アイスクリームなどを販売していた。

正幸さんのお父さんは戦争で命を落としている。

正幸さんは高校卒業後、下田市の商工会議所に就職。

商工会議所とは、商店の事業発展をサポートする仕事だ。

しかし、正幸さんが34歳のとき、お母さんの看病のために下田から南伊豆へ戻ることになった。

当時、本や雑誌が飛ぶように売れた時代。

この場所をどうしようか考えた正幸さんは、商工会議所で培った経験を活かして本屋を始めようと、駄菓子屋を本屋に改装した

それが尾崎書店の始まりだ。

「当時はどんどん観光客が押し寄せていた時代だったからね。宿が取れなかった人が「ここに泊まらせてくれ!」とお願いされたこともあったよ」

「当時はどんどん観光客が来た時代だったからね。宿が取れなかった人が「ここに泊まらせてくれ!」とお願いされたこともあったよ」

本屋に泊まらせてくれってどういうこと!?

どんだけ南伊豆に人が来たんだ・・・。

尾崎書店は南伊豆の民宿や旅館に本を配達する仕事もしていた。

バブルだったこともあり、本の売り上げもよかったそう。

平成元年(尾崎さんは50歳)には建物を全て建て変え、現在の尾崎書店ができた。

それから30年。

時代の変化とともに、民宿も減り、本もだんだん売れなくなった。

しかも、今はネットが繋がればワンクリックで大体なものが手に入る。

「わざわざ本屋に行く必要はない」という人もいるかもしれない。

でも、南伊豆に限ったことではないけれど、年配の方の中には免許を返納されて外出がむずかしい人もいる。ネットからの購入が苦手な人だっているだろう。

尾崎書店は、そういった個人宅に本や雑誌を届ける仕事もしている。

 配達は毎日20件くらい。昔はもっと多かったけどね」と正幸さん。毎朝7時30分、9時頃に分けて南伊豆エリアに配達している。この日は大雨。

配達は毎日20件くらい。昔はもっと多かったけどね」と正幸さん。毎朝7時30分、9時頃に分けて南伊豆エリアに配達している。この日は大雨。

まさか個人の家に配達に行っているとは。。

それでも、当時と比べたらお客さんは減ったはず。

大輔さんはなぜこの本屋を継ごうと思ったのだろう。

「昔から無意識に継ぐのは決めていたよ。お店をやっている所の息子ってのはそういうもんじゃないのかな。でも、このままいけばお店の規模は小さくしていくかもね。本のスペースを少なくして通路を広くするかな。CDも売れないし、むずかしいんだよ」

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もしかしたら、これから尾崎書店の景色は少しずつ変化していくのかもしれない。

それでも、お金を払って手に入れる本は、図書館で読む本とは少し異なる手触りを持つと思うし、もしかしたらこの場所でその人の人生に寄り添ってくれるような一冊に出会えるかもしれない。

尾崎書店の配達を楽しみにしている人もいるだろう。

だから、尾崎書店が今この場所にあるということが大事だと思うし、

町にとって価値のあることだと、僕は思う。

個人的に僕がいいなと思ったのは「自分たちが好き勝手に本を置いているから楽しいよ」と正幸さんと大輔さんが話されたことだ。

ぜひ、2人が選んだ本をのぞいてほしい。

ほんとは笑ってほしいなぁと思ったけれど、2人ともカメラは苦手だそう。なかなか渋い一枚になった

ほんとは笑ってほしいなぁと思ったけれど、2人ともカメラは苦手だそう。なかなか渋い一枚になった

【尾崎書店】
場所:〒415-0303 静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂263−2
電話: 0558-62-0136
営業時間8:00~20:00
定休日:なし(年末年始はお休みしています)
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