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「期待を裏切れないから、それに応えたいって思うんだよね」。地元の幅広い層に愛されるイタリアン料理店「プチレストランTime」

南伊豆の一番大きな川、青野川。

その河口付近にプチレストランTime(以下、Time)はある。

青野川。4月は川沿い一面がソメイヨシノが花開く

二級河川青野川。4月は川沿い一面にソメイヨシノが花開く

1階がTime。イタリアン料理のお店だ。もともとスナックだったお店を改装した

1階がTime。イタリアン料理のお店だ。昔はスナックだったらしい

店内。Timeのお客さんは子育て世代のママさんグループや、カウンターでまったりお昼休憩しているサラリーマン。年配の人たちがお茶会としても活用されている

店内。Timeのお客さんは子育て世代のママさんグループや、仕事のお昼休憩で立ち寄った人、年配の人たちがお茶会をやっていたり、客層はさまざま

海水浴シーズンは観光客も多いそう。

でも、何となくだけど、地元の人が気軽に足を運んでいる印象だ。

こちらが日替わりランチメニュー(日曜日のぞく)。パスタとステーキ・ハンバーグなどから選べる。セットは、サラダとスープとコーヒー付きで1,100円。(コーヒーはお代わり自由!)

こちらが日替わりランチメニュー(日曜日のぞく)。パスタとステーキ・ハンバーグなどから選べる。セットは、サラダとスープとコーヒー付きで1,100円。(コーヒーはお代わり自由!)

チキンと野菜のペペロンチーノ

「チキンと野菜のペペロンチーノ」。旬の野菜(この日はブロッコリー、プチベールなど)が取り入れてあった。季節ごとに盛り付けを工夫しているそう

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「オムレツと牛タンシチュ」。じっくり煮込んだ濃厚デミグラスソースとオムレツが最高に合う!お店の人気メニュー!

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「チキングリルとキノコソース」。時間をかけて揚げたお肉は、肉厚。外はカリッ、中は柔らかくてジューシー!

ご覧の通り。

料理はどれも、なんていうか繊細。

色合いも鮮やかで、仕事が細かいなぁと思った。

何よりおいしい! 地元の人たちがよく集まるわけだ。

ディナーメニューも充実している。

(ピザや、オムレツ、ビーフシチューなど、いろんな料理が食べられる。)

どんな人が作っているんだろうと思って厨房をのぞくと・・・

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ちょっとこわそうな(失礼承知の上)な人が淡々と料理を作っている。

「マスターって喋ったらどんな人なんだろう?」

僕は、だんだん興味を持ち(料理とのギャップにもやられ)、お店に通うように。

インタビューは断られるかもしれないと思ったけれど、ありがたいことにマスターは二つ返事で「いいよ」と快諾してくれた。

Timeのマスター、土屋貴さん。「よろしくお願いします!」と僕が言うと「そんなに怖がらなくていいよ」と優しく言ってくれた(内心まだビビってたけど)。土屋さんの趣味はいろんなお店を食べ歩いて客層を見ることとゴルフ。

Timeのマスター、土屋貴さん。「よろしくお願いします!」と僕が言うと「そんなに怖がらなくていいよ」と優しく言ってくれた(僕はまだ内心ビビっていたけど)。土屋さんの趣味は、いろんなお店を食べ歩いて客層を見ることとゴルフ。

 

■東京で1人暮らしをしたかったんだよ(笑)

南伊豆新聞:「土屋さんは南伊豆の出身なんですか?」

土屋さん:「俺は19歳までこの町で過ごしたよ。高校卒業後は地元の会社に就職したんだけど、色々あって1年も経たないうちに退職したんだよね」

南伊豆新聞:「それからはどんな道を?」

土屋さん:「南伊豆を離れて東京で働いたよ。友達が東京に出ていたし、遊びに行くような感じでね(笑)」

高校時代のお写真。やっぱりこわいよ土屋さん!

高校時代のお写真(白いタンクトップが土屋さん)。やっぱりこわいよ土屋さん!

南伊豆新聞:「南伊豆を離れた理由はなんだったんですか?」

土屋さん:「東京で1人暮らしをしたかったんだ(笑)。仕事して、東京で遊びながら生活しようかなと思って」

南伊豆新聞:「お、親御さんはなんと?」

土屋さん:「まぁ、すぐに帰ってくると思っていたんじゃないかな」

どうせ言うこと聞かないだろうってね(笑)。そん時のこと?もう忘れちゃったね。

土屋さん:「どうせ言うこと聞かないだろうってね(笑)。そん時のこと?もう忘れちゃったね」

南伊豆新聞:「料理人になる野望があったわけではないんですね」

土屋さん:「そう。まさかこんな仕事をするとは思わなかった。うんと若い時から目指したわけじゃないんだよね。19歳の時はそういうつもりじゃなかった。でもさ、こういう仕事って食いっぱぐれがないから。やってみたら料理を作るのが面白くなって、いろんなお店を渡り歩いたよ。一番長くいたのは池袋。サンシャインシティに10年くらい働いたね」

20代の頃のお写真。か、かっこいい!!!

土屋さんが20代の頃のお写真。か、かっこいい!!!

 

■ずっと南伊豆に帰ろうと思っていたよ

土屋さんが30歳の時(1988年)、結婚とお子さんの誕生を機に南伊豆へ戻ってきた。

土屋さん:「俺は最初から南伊豆に帰るつもりで東京にいたから。『いつか戻ってこよう』って、いつも思ってたよ。知ってる人もいるし、ここは居心地がいいんだ。お盆と正月は毎年帰ってたしね。でも一番はやっぱり子どもだね。都会じゃなくて田舎で育てたいと思っていたからさ」

それから土屋さんは、南伊豆のゴルフ場に隣接するレストランに就職。料理長を務めた。

土屋さん:「昔からゴルフが好きだったからね。タダでゴルフできるし、料理も好きだったし、いいなと思ったんだよ(笑)」

土屋さんの趣味は今もゴルフ。池袋で働いていた時に先輩から教えてもらったそう。スコアは調子のいい時で80~90。

ゴルフは池袋で働いていた時に先輩から教えてもらったそう

それから、15年が経った2004年8月8日。Timeをオープンした

土屋さん:「もうちょっと小さくお店をやるつもりだったけど、いざオープンしたらたくさんお客さんが来てくれてね」

南伊豆新聞:「じゃあ、お店の名前の“プチ”レストランって・・・小さくお店をやる予定だったから“プチ”なんですか?」

そう、あそこの奥の席はもともとなかったんだよね。人が増えたから拡大したんだ

土屋さん:「そう。あそこの奥の席はもともとなかったんだよね。人が増えたから広げたんだ」

南伊豆新聞:「へぇー」

2004年からお店を始めて、15年か。

アルバイトさんのサポートがあるとはいえ、土屋さんは1人で料理を作っている。

きっと色々な物語が詰まっているんだろうな。

Timeの由来は、時間って意味と料理に使われるハーブ「Thyme(タイム)」からもじったそう。よく見ると、時計のロゴに葉っぱのデザインがあしらわれている。ちなみにThymeの意味を勝手に調べたら、気品のある清々しい香りとほろ苦さという意味だった

Timeの由来は、「時間」って意味と料理に使われるハーブ「Thyme(タイム)」からもじったそう。よく見ると、時計のロゴに葉っぱのデザインがあしらわれている。ちなみにThymeの意味を勝手に調べたら、気品のある清々しい香りとほろ苦さという意味だった

土屋さん:「簡単なことじゃないですよ。来てくれた人を裏切れない。それに応えなきゃいけないって」

バイトの子らもまかないの時間になると、おいしいものを期待しているもんだからさ。そういうのを裏切れないから。ね?まじめなんだよ(笑)。

土屋さん:「バイトの子らもまかないの時間になると、おいしいものを期待しているもんだからさ。そういうのを裏切れないから。ね?まじめなんだよ(笑)」

土屋さん:「今は年齢的にまだ大丈夫だけど、ゆくゆくは今の追われっ放しの生活じゃなくて、もうちょっと余裕をもって仕事したいなって思ってる。例えば、予約だけにするとかさ。コース料理とか、もっとこう生意気だけど、クオリティを上げてさ」

しばらくは今の営業スタイルでやるけどね

土屋さん:「しばらくは今の営業スタイルでやるけどね」

 

■変えることってできないじゃん

南伊豆新聞:「Timeには若い人から年配の人まで、いろんな客層の人が来ますよね。地元の人から愛されるお店ってどうやってつくるんですか?」

土屋さん:「ハハっ。愛されてるかどうかは俺もわからないけどね(笑)。『また来て欲しい』っていう気持ちだよ。自分があんまりやる気ない時って、なぜかお客さんって来ないんだよね。。あれが不思議なんだ。あとは『自分がおいしいと思ったものを出す』。そこは気をつけているかな。もし『おいしくない』って言われても、俺がおいしいって思うんだからさ(笑)。それって変えることができないじゃん

土屋さん:「ハハっ。愛されてるかどうかは俺もわからないけどね(笑)。『また来て欲しい』っていう気持ちだよ。自分があんまりやる気ない時って、なぜかお客さんって来ないんだよね。あれが不思議なんだ。あとは『自分がおいしいと思ったものを出す』。そこは気をつけているかな。もし『おいしくない』って言われても、俺がおいしいって思うんだからさ(笑)。それって変えることができないじゃん

なんか・・・いろいろなことに通じる話を聞いてしまった。

土屋さんは19歳の時に料理を作る楽しさに目覚めた。

東京に行かなかったら、どうなっていたんだろう。

土屋さん:「そのまま就職していたらこういう仕事をしていないと思う。人生ってわかんないもんだよね」

土屋さん:「そのまま就職していたらこういう仕事をしていないと思う。人生ってわかんないもんだよね」

南伊豆新聞:「ほんとに・・・そうですね。では、そろそろ取材を終えようと思ってます。ありがとうございました!」

土屋さん:「楽しかった?」

南伊豆新聞:「へ?」

土屋さん:「俺はこの取材すごく楽しかったけど、イッテツくんは楽しかった?」

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南伊豆新聞:「も、もちろんっす(笑)」

土屋さん:「よかった。楽しかったって思って欲しかったらさ。お酒強そうだね、今度飲みにきなよ」

photo:Timeはイタリアン料理なのでワインもある(焼酎もある)。でも土屋さんはお酒が飲めないそう。意外!

Timeはワインも置いてある(焼酎もある)。料理に合わせてどうぞ!

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ちなみに土屋さんはお酒が全く飲めないらしい。意外!

土屋さん、お世辞でなく、本当に楽しかったです。

気さくで話しやすくて、優しい人でした。

あぁ。お話が聞けてよかった。

ぜひTime(土屋さん)の料理を食べに来てください。

【プチレストランTime】
場所:415-0152 静岡県賀茂郡南伊豆町湊403-1
電話:0558-62-5111
営業時間:11:00~14:30(13:45ラストオーダー)/17:30~22:30( 21:45ラストオーダー)
定休日:水曜日
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