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伊豆を駆け回る鹿と猪に思いをはせて「いただきます!」。きくちゃん食堂

伊豆の鹿と猪が食べられるお店、きくちゃん食堂。

2018年5月にオープンした。

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「猟師からいただいた鹿や猪を見て思うんです。『こいつら伊豆の山を走り回っていたんだなぁって』。こっちができることは、美味しく食べてあげることなんですよね」

そう話すのは店主の酒井憲二さん。神奈川県のご出身。

2013年から南伊豆に移住された。

店主の酒井さん。南伊豆では“菊ちゃん”の愛称で知られているため、本文では菊ちゃんで統一。ちなみに名前の由来は当時飼っていた犬の名前。以前、SNSミクシィの名前を「菊ちゃん」にしていたら次第に周りから菊ちゃんと呼ばれるように

店主の酒井さん。南伊豆では“きくちゃん”の愛称で知られているため、本文ではきくちゃんで統一。ちなみに名前の由来は当時飼っていた犬の名前。以前、SNSミクシィの名前を「きくちゃん」にしていたら次第に周りからそう呼ばれるように

店内は清潔感のある内装。女性客も多い。テラス席もある

店内は清潔感のある内装。女性客も多い。テラス席もある

鹿や猪というと、ちょっと臭みがあって独特な味を持つ食材と言われている。

でもきくちゃんによると、猟師が手際よくさばくと、その臭みが抑えられるそう。

特に内臓の処理、血抜きが大事なんだとか。

調理する人だけではなく、猟師さんが味の決め手を握っているんだな!

こちらが猟師さんが血抜きをして、きくちゃんが味付けしたお店の看板メニュー。

まずは、鹿肉ステーキ!

鹿肉ステーキ(200g)。醤油ベースの和風大根おろしソースがかかっている。 男性なら少し物足りないかもしれないので、〇〇g~がおすすめ。

鹿肉ステーキ(200g)。ソースは醤油ベースの和風大根おろし。男性は150g~200gがおすすめ。

一口食べると牛と同じくらい柔らかく、さらりとしていながらも肉汁がぶわっと口の中で広がる。はっきりって、臭みはない。

一口食べると牛と同じくらい柔らかく、さらりとしていながらも肉汁がぶわっと口の中で広がる。はっきり言って、臭みはない。

きくちゃんによると、鹿肉は料理人の味付けでとても左右される繊細なお肉なんだそう。

鹿も好きだけど、猪も最高にうまい。次は猪丼!

猪丼!歯ごたえがあって噛みごたえ抜群。玉ねぎは猪の油で飴色になっている!

猪丼!歯ごたえがあって噛みごたえ抜群。玉ねぎは猪の油で飴色になっている!

個人的にオススメなのは、猪の生姜焼き。

生姜と猪の油がからみあって甘味がある。猪と生姜焼きってめちゃくちゃ合う!

生姜と猪の油がからみあって甘味がある。猪と生姜焼きってめちゃくちゃ合う!

ご飯がすすむのなんのって!

ご飯がすすむのなんのって!

豚バラ肉が好きな人は結構好きになるはず。

つまり、あっさりとした味が好きな人は鹿。こってりとした味が好きなら猪、といったところ。

でも、きくちゃん!

どうして南伊豆で鹿とイノシシ料理をすることになったんだ。笑

純粋に疑問が残ったので、その背景を聞いた。

 

料理人になるなんて、これっぽっちも思ってませんでした(笑)

20代前半、きくちゃんはバンドマンだった。

「ずっとバンド活動をやっていて、将来は音楽で食って行こうと思っていたんです。10年後の俺、見てろよってね。(笑)」

バンドマンだった頃のきくちゃん。ギタリストだった。きくちゃんは25歳の時に脱退したが、今もこのバンドは活動を続けているそう

バンドマンだった頃のきくちゃん。ギタリストだった。きくちゃんは25歳の時に脱退したが、今もこのバンドは活動を続けているそう

「音楽だけでは食っていけなかったので、お金を稼ぐためにトラックの運転手をやっていたんですが、それが運の尽きでね(笑)。気づいたら運送会社の管理職をやっていました(笑)」

しかし、会社が大きくなるにつれて、きくちゃんは居心地がわるくなり、退社。

バイク便の仕事に就いた。

「バイクに乗るのが好きだったので、それで給料がもらえるなんて最高だと思いましたよ(笑)。当時はネットもない時代でしたからね。プロ野球キャンプの映像テープを沖縄でもらって東京のテレビ局に配達したりしました。36歳まで働いていましたね。

「バイクに乗るのが好きだったので、それで給料がもらえるなんて最高だと思いましたよ(笑)。当時はネットもない時代でしたからね。プロ野球キャンプの映像テープを羽田空港でもらってテレビ局に配達したりしました。52歳まで働いていましたね。

きくちゃんはその頃から、ツーリングで南伊豆に来るように。ダイビングのインストラクターのアルバイトもやっていたそう。

そのとき、南伊豆の鹿肉料理店「こあじ亭(2015年に閉店)」と出会う。

こあじ亭の店内。バイク乗りが集まるお店として知られていた。

鹿肉料理こあじ亭。バイク乗りが集まるお店として知られていた。

その頃、きくちゃんは人間関係に少し嫌気がさしていた時期だったそう。

しだいに南伊豆の土地に惹かれ、こあじ亭の常連になる。

ある日、こあじ亭の店主こあじさんから「うちに居候すれば?」と声をかけてくれた。

それからきくちゃんは、こあじ亭を手伝うようになる。

「その出会いがここへ移住するきっかけでしたね。猪鹿料理はそこで覚えた料理なんです」

や、やっと鹿と猪が出てきた!その時きくちゃんは53歳。

ドラマチックな人生だなぁ。

しかし、こあじさんが心不全で倒れたことがきっかけでお店をしめることに。

それからきくちゃんは自立するために居酒屋のバイトを始めるようになった。

「千切りキャベツ一つできない自分が恥ずかしくて、毎日ずっと切ってましたよ(笑)」

さらに、きくちゃんはこあじ亭の知り合いの紹介で、昼は森のガイドの仕事もやるように。

きくちゃんが南伊豆に移住して4年目になる2018年1月。

知り合いの大家さんから突然呼び出され、きくちゃん食堂の物件を紹介される。

「初期費用は支援するから、ここでお店をやってくれ!」と。

「なんとなく、勢いに押されまして(笑)。まさか僕が自分のお店を持つなんて思いもしなかったですよ。不動産の人にも、まだ何の料理を出すか決めてませんと言いました(笑)」

「なんとなく、勢いに押されまして(笑)。まさか僕が自分のお店を持つなんて思いもしなかったですよ。不動産の人にも、まだ何の料理を出すか決めてませんと言いました(笑)」

開店の準備を進める中で、きくちゃんはお世話になったこあじ亭のことや、森のガイドで観光客に猪や鹿の被害について話していたことを思い出した。

きくちゃんは「猪鹿料理を出そう」と決めた。

こあじ亭から始まったご縁の連鎖が、今のきくちゃん食堂につながっていったんだな。

きくちゃんは、ガイドで鍛えた豊富な南伊豆の知識、猟師さんとのエピソードをたくさん話してくれる。

話していると、うっかり時間を忘れて話し込んでしまうこともしばしば(笑)。

お店に来る際は、時間にゆとりを持って来て欲しい。

あ、きくちゃん食堂には鶏肉料理もあります。
もし苦手な方がいたら、対応できるとのこと。

※きくちゃん食堂では、食肉加工場(天城のイズシカ屋)からの鹿肉、猪を提供しています。

【きくちゃん食堂】
場所:〒415-0152 静岡県賀茂郡南伊豆町湊220
電話:0558-62-6909
営業時間:11:30~14:30/17:00~21:00
定休日:木(たまにお店を閉めて遊びに行ってますので、電話をください〜きくちゃんより〜)
駐車場:あり
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きくちゃん食堂

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