伊豆を駆け回る鹿と猪に思いをはせて「いただきます!」。きくちゃん食堂 2018.8.31
※『きくちゃん食堂』は2019年6月中旬頃、南伊豆町伊浜エリアに移転します。
お店の名前は『Motoばる おきくや』として再スタートするそう。
詳細がわかり次第こちらにリンク先を作ります。ぜひ足を運んでくださいね
下記は、以前取材した時のことを紹介しています。
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伊豆の鹿と猪が食べられるお店、きくちゃん食堂。
2018年5月にオープンした。
「猟師からいただいた鹿や猪を見て思うんです。『こいつら伊豆の山を走り回っていたんだなぁって』。こっちができることは、美味しく食べてあげることなんですよね」
そう話すのは店主の酒井憲二さん。神奈川県のご出身。
2013年から南伊豆に移住された。
鹿や猪というと、ちょっと臭みがあって独特な味を持つ食材と言われている。
でもきくちゃんによると、猟師が手際よくさばくと、その臭みが抑えられるそう。
特に内臓の処理、血抜きが大事なんだとか。
調理する人だけではなく、猟師さんが味の決め手を握っているんだな!
こちらが猟師さんが血抜きをして、きくちゃんが味付けしたお店の看板メニュー。
まずは、鹿肉ステーキ!
きくちゃんによると、鹿肉は料理人の味付けでとても左右される繊細なお肉なんだそう。
鹿も好きだけど、猪も最高にうまい。次は猪丼!
個人的にオススメなのは、猪の生姜焼き。
豚バラ肉が好きな人は結構好きになるはず。
つまり、あっさりとした味が好きな人は鹿。こってりとした味が好きなら猪、といったところ。
でも、きくちゃん!
どうして南伊豆で鹿とイノシシ料理をすることになったんだ。笑
純粋に疑問が残ったので、その背景を聞いた。
料理人になるなんて、これっぽっちも思ってませんでした(笑)
20代前半、きくちゃんはバンドマンだった。
「ずっとバンド活動をやっていて、将来は音楽で食って行こうと思っていたんです。10年後の俺、見てろよってね。(笑)」
「音楽だけでは食っていけなかったので、お金を稼ぐためにトラックの運転手をやっていたんですが、それが運の尽きでね(笑)。気づいたら運送会社の管理職をやっていました(笑)」
しかし、会社が大きくなるにつれて、きくちゃんは居心地がわるくなり、退社。
バイク便の仕事に就いた。
きくちゃんはその頃から、ツーリングで南伊豆に来るように。ダイビングのインストラクターのアルバイトもやっていたそう。
そのとき、南伊豆の鹿肉料理店「こあじ亭(2015年に閉店)」と出会う。
その頃、きくちゃんは人間関係に少し嫌気がさしていた時期だったそう。
しだいに南伊豆の土地に惹かれ、こあじ亭の常連になる。
ある日、こあじ亭の店主こあじさんから「うちに居候すれば?」と声をかけてくれた。
それからきくちゃんは、こあじ亭を手伝うようになる。
「その出会いがここへ移住するきっかけでしたね。猪鹿料理はそこで覚えた料理なんです」
や、やっと鹿と猪が出てきた!その時きくちゃんは53歳。
ドラマチックな人生だなぁ。
しかし、こあじさんが心不全で倒れたことがきっかけでお店をしめることに。
それからきくちゃんは自立するために居酒屋のバイトを始めるようになった。
「千切りキャベツ一つできない自分が恥ずかしくて、毎日ずっと切ってましたよ(笑)」
さらに、きくちゃんはこあじ亭の知り合いの紹介で、昼は森のガイドの仕事もやるように。
きくちゃんが南伊豆に移住して4年目になる2018年1月。
知り合いの大家さんから突然呼び出され、きくちゃん食堂の物件を紹介される。
「初期費用は支援するから、ここでお店をやってくれ!」と。
開店の準備を進める中で、きくちゃんはお世話になったこあじ亭のことや、森のガイドで観光客に猪や鹿の被害について話していたことを思い出した。
きくちゃんは「猪鹿料理を出そう」と決めた。
こあじ亭から始まったご縁の連鎖が、今のきくちゃん食堂につながっていったんだな。
きくちゃんは、ガイドで鍛えた豊富な南伊豆の知識、猟師さんとのエピソードをたくさん話してくれる。
話していると、うっかり時間を忘れて話し込んでしまうこともしばしば(笑)。
お店に来る際は、時間にゆとりを持って来て欲しい。
あ、きくちゃん食堂には鶏肉料理もあります。
もし苦手な方がいたら、対応できるとのこと。
※きくちゃん食堂では、食肉加工場(天城のイズシカ屋)からの鹿肉、猪を提供しています。
【きくちゃん食堂】
場所:〒415-0152 静岡県賀茂郡南伊豆町湊220
電話:0558-62-6909
営業時間:11:30~14:30/17:00~21:00
定休日:木(たまにお店を閉めて遊びに行ってますので、電話をください〜きくちゃんより〜)
駐車場:あり
※「南伊豆新聞を見たよ!」と伝えてくれると嬉しいです!